はるかな対エクレアの決勝戦は熾烈を極めます。
1セット目を取ったエクレアに、はるかなは必死で食らいつきます。
お互いに手の内を知り尽くしているからこその息もつかせぬ展開。その勝敗を分けるのは、奇策か、あるいは意地か。コートの中に四人の想いが交差します。
そんな第11話「ここまできたら真っ向勝負」。
ストーリー
アバン ~ Aパート
大会優勝と全国進出を賭けた、はるかな対エクレアの決勝戦。先に1セット目を取ったのはエクレアです。二セット目も、エクレアが僅かにリードしています。しかし、勝負はまだまだこれから。
「みなさん、ファイトです!」
とても明るくビーチバレー部の応援をしてくれる天使・あかりちゃんでした。
「アタシが戦いたかったのは、その目のかなただ!」
クレアさんは過去を振り返ります。
前回におけるエミリさんの回想を、今回はクレアさん視点です。
かなたと成美さんに敗北。母のマリッサさんは、これを大きなチャンスだとエクレア姉妹に言います。
「だって二人には、今日、ライバルができたんだもの」
クレアさんはかななるの二人に、特に自分の間違いを真っ向から否定し勝利したかなたに、「次はアタシたちが勝つ!」と涙ぐみながら宣言。そして、良きライバルとなって固い握手を交わします。
そして、マリッサさんの指導のもとで共に練習の日々を過ごします。
しかし、そんな折にかなたの挫折の時期が重なります。
思うようなプレーができず勝負から目を背けるようになった彼女は、とても弱々しく、もうクレアさんのかつて越えたかった相手ではありませんでした。消えた、いなくなってしまった、と述懐します。
転機は、遥の登場です。
遥が誘ったことで、かなたは再びビーチバレーを始めることができました。しかも最初の相手は元ペアである成美さんです。
昔のかなたが戻って来たんじゃないか――クレアさんの胸は高鳴ります。
それからクレアさんは、はるかなに強くなってもらうために、部に誘う、特訓をつける、マリッサさんに指導を依頼するなど、奔走してきました。
最後に倒し甲斐のあるように強くなってもらう、というラスボスチックな意志を持つクレアさんですが、いつしかはるかなは最高のライバルとなっていました。
そして、現在。
目の前のかなたを倒し、全国に進んで成美さんも倒して、日本一になること。それがクレアさんの、もといエクレアの目標なのです。
「来い!」
強い気迫を露わにするクレアさんに、遥のサーブからゲームが再開します。かっこいいBGMも流れ出します。
点を取っては取り返す熱い試合が繰り広げられます。ボールを打つたびに砂の弾ける演出がとても迫力あって良いですね。いつしかスコアは18-20ではるかなが逆転しています! あと一点でセットを取れます。
遥が防げなかったスパイクをかなたが拾います。エクレアはツーアタックで速度を上げて果敢に攻めます(「さっきより速い!」)。しかし遥のナイスブロックで、二セット目ははるかなに軍配が上がります!
悔しそうに砂浜を叩くクレアさんです。
柑菜さんやクレアさんのスパイクを止めづらいと遥が感じたときは、実はいつもはるかなが風下のコートにいました。
それ故に遥は、次に風上のコートに立つこと、加えて柑菜さんがやったようなドライブショットを打つことを提案します。まさか遥が風使いになって、しかも対ようかん戦の経験がここで活かされるなんて!?
ぶっつけ本番となってしまいますが、パートナーのかなたに不安の色はありません。だからこそ遥も安心してプレーができるというもの。二人は熱く拳を突き合わせます。
エミリさん「ここまで来たら真っ向勝負って感じね」
クレアさん「だな。ジタバタしてもしょうがない」
今日のタイトル回収です。
新技を織り交ぜて作戦を練るはるかなとは対称的で、動じない強者の風格を漂わせます。
Bパート ~
3セット目は15点マッチです(ここ、後で出題されます)。
再びコイントス。今度は遥が当てました。どうやらサーブ権かコート選択かを選べるルールのようで、遥はコートを取りました。
ここの警戒する表情好きです。
「勝つよ、かなた」「うん」
「勝つぞ、エミリ」「(無言のハンドサイン)」
それぞれの掛け声と対比が良いです。
エミリさんのスパイクが遥を抜けるのですが、今度はかなたが拾います!
ブロックされても取り続ける激しい応酬。最後は遥が手首のスナップを利かせたスパイクで先制点を奪います! カットショット? よくわかりませんがエクレアの裏をついたナイス攻撃でした。
遥のサーブです。風上のコート、サーブ権、対ようかんの試合経験の三つが揃い、遥が繰り出すのはドライブショットです。
か、風を切っている……!
ぶっつけ本番のドライブショットは見事成功です。これまでの特訓の日々になかった遥の新技に、クレアさんは対応が遅れてレシーブをミスしてしまいます。
次のドライブ回転を加えたサーブも、エクレアの思いもよらない軌道を描いて砂浜に落ちます。風に乗せたドライブショットはすごい。風使い・遥、ここに誕生です。これで3-0。
少し……この風……泣いてます。
風の音や、風になびくクレアさんたちの髪が印象づきます。このまま遥の活躍が続くと想像させますが、そう一筋縄でいかないのがビーチバレー。
同じく遥のサーブを、クレアさんが今度はレシーブします!
「受けた!」
ここから起き上がるまでの緩急ある描写がすごいです。そのまま打ったスパイクが入って、エクレアに点が入ります。やっぱりエクレアはすごかった。
上手くはまったとは言え、新技で翻弄する作戦は3点止まりでした。
けれど、ここのチャンスを活かそう、と気持ち新たに力強いハイタッチを交わします。上下から打ち合うのかっこいい。
激しい戦いを2セット以上も続けてきて、両チームの体力の消耗が見えてきます。ミスも増えてきて、まさに意地と気力で戦っているといったところです。
ついにスコアは、12-14。エクレアのマッチポイントになりました。
両チームにエールを送るあかりちゃん。がんばれ、と威厳ある一言を放つソラおばあちゃん。二人でにっこり。ここで和めます。
ED曲はカットで、クレジットだけが流れます。
「考えてた。ずっとこのまま試合できればいいなー、って」
クレアさんが呟きます。その場の光景も相まって、かけがえのない青春を意識せずにはいられません。ナイーブな様子のお姉ちゃんに、エミリさんは何か考え込みます。けれど、クレアさんはすぐに復活。
「でも――勝ちで終わらせるよ!」
切なくっても、勝利という望みに向かって歩き出します。
その頃のはるかなは、汗拭きタオルをシェアしていました。尊い! 羨ましい!!
珍しく遥が気弱になっていました。先ほどのスパイクミスを引きずっていたのです。砂浜に落ちた雫は、かなたの汗か、遥の涙か。
「まだまだここでは終わらせない。任せて、私に!」
頼りがい溢れるかなたに、遥も自信を取り戻します。
再度の拳の突き合わせ、からのハイタッチ!
そうです、まだまだ終わるわけにはいかないのです。大天使、風使い、策士、と様々な異名を持つかなたですが、今度は何を見せてくれるのか。
試合再開です。
みなの体力の消耗が著しい中、かなたは「――でも私は、まだ動ける!」と心の内で叫びます。そう、他の三人はブロックやジャンプサーブで体力を使う機会が多くあったのですが、かなたはそうではないのです。最初から狙っていたのかどうかはわかりませんが、ともかくまだ動ける!
ポーキーで打ったボールが、誰もいないコートに落ちます。さすかな! 喜ぶかなた可愛い。これで13-14になりました。
クレアさんのスパイクを遥は止められません。しかし、すぐさまかなたに託します。かなたが拾い、遥がスパイク。ここで遥は、スナップを利かせたスパイクを放ちます。これが決まるのでした!
「追いついた! デュースです!」
涙を見せつつ、あかりちゃんも試合を見届けようとします。
スコアは14-14でデュースになりました。まだまだ白熱の試合は続きます。
対峙する両チーム。試合の行方は、次回へ。
まとめ
強くなったはるかなに感動! でもどっちのチームも応援せずにいられません!
次回への引きも良すぎます。どっちが勝つの? どっちが負けてしまうの……? 怖いながらも早く試合を見たい気持ちが抑えられません。
かななる・エクレアの出会いは繰り返し描かれているシーンですが、複数のキャラたちの別々の視点から語られることで、それぞれの想いが重なり、とても深みのある群像劇然となっていると思います。
前回の予想通り、今回はクレアさんの視点でした。「かなたを倒す。成美も倒す。アタシたちが日本一になる!」とはっきり言葉にしていましたね。
はるかなの特訓にずっと付き合ってきた背景にある本当の気持ちが語られて、私にはまるで全てのパズルのピースがはまったかのような爽快感がありました。
こんな風にみんなの想いを知ってしまうと、やはり私もあかりちゃんと同じく「みなさんを応援する」という姿勢にならざるをえません。特にいつもは朗らかなクレアさんの真剣な表情が本当に良かったので。
とは言えはるかなの尊さは今回も天元突破でした!
珍しく自信をなくしてしまう遥を、優しく受け止めて頼りがいのあるところを見せつけるかなた。そこに痺れる憧れます。
正確無比なポーキーや粘り強いレシーブのプレイングはもちろん、何よりその心意気がすごい。クレアさんがかつて越えたいと思った昔のかなたは伊達ではありません。
このまま試合が長引いて、もしもかなたの体力さえも尽きてしまったときが不安です。そのとき勝敗を分けるのは、クレアさんか、エミリさんか、やはりかなたが粘り抜くのか、いや遥が新しい風を吹かせるのか。
本当にどっちが勝つんですか……!?
まだまだ続いてほしい。そんな風にも思ってしまいます。
おわりに
以上となります。
長くなりましたが、最後まで読んでいただけたなら幸いです。
ありがとうございました。
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