特訓の日々は過ぎていき、ついに大会が開催され、はるかなペアの初試合です。
相手は愛衣さんと舞さんのあいまいペア。奇しくも水着を賭けた勝負で知り合ったあの二人でした。インドアのバレーボールの選手で、油断はできません。
試合は一進一退の展開です。愛衣さんには、決して負けられない理由がありました。それは、後輩の舞さんのためでした。
そんな第5話「アンタの心が折れるまで」。
ストーリー
アバン ~ Aパート
クリード西原マリンパークに人が賑わいます。そう、ここで沖縄ビーチバレージュニアトーナメントが開催されるのです。
「いよいよ、パートナーになった私たちの最初の試合が始まる」
前回の尊いやりとりを通した甲斐あり、気合十分の遥です。
はるかなの一回戦の対戦相手は、棚原愛衣さんと砂川舞さん――前回水着の買い物にて知り合ったあの二人なのでした。例の水着と平たい胸が印象的です。
遥と、小さいけど勝気な舞さんは、試合前から早速火花を散らし合います。するとかなたは、遥の脇腹を突いて動きを制します。たまらず艶っぽい声を出す遥。いやらしい!
が、やはり舞さんと遥は握手でも負けん気全開なのでした。舞さんの言葉には、遥に対する身長の恨み節も読み取れます。
コートの砂を掴み、パラパラと落とすかなた。おまじない、ではなくて、風向きを見ていたのです。風上なのでボールの勢いに気をつけましょう。かっこいいー!
はるかなペア(遥・かなた)とあいまいペア(愛衣・舞)、いざ対決です。
あいまいペアがインドアバレーボールの経験者であることを知るかなた、リベロで守備専門の舞さんを狙って、得点。舞さんがスパイク不得意であることを見抜きます。
また、遥のブロックが相手にプレッシャーをかけている、と励まします。頼れる可愛い。実はこれが今日の作戦です。
まるで教育番組のよう。遥がブロックで相手にプレッシャーをかけることで、コースが絞られて、かなたがレシーブしやすくなるというもの。がんばろうね、とはるかなは手を取り合います。可愛い。
作戦通り、舞さんは遥を避けたスパイクをしてきました。かなた、上手くボールを拾います。そしてスパイクではポーキーを使います。エミリさんとの練習の成果あり、見事得点。あいまいはポーキーを知らなかったようで、驚かされます。
さらにあいまいはフォアハンドのミスで失点。これで0-3(あいまい対はるかな)。
ここで策士愛衣さん、遥のブロックがずれていることを見抜きます。また、かなたのフェイントへの対策を始めます。
ポーキーを読みきり、愛衣さんはブロックのジャンプをせず、落ち着いてレシーブします。そしてブロックの遅れた遥をものともせず、スパイクでまっすぐにボールを打ち抜きます。あいまい、初得点です。
「さあ、ここからは私たちの流れね!」というところで、舞さん、サーブを外します。アンダーを使えと怒られてしまいます。そんなわけで、1-4。
「まだ追い風は私たちに吹いているみたいだね」というところで、遥、サーブを外します。追い風だけに、追い風にやられてしまいました。わりと似た者同士。2-4。
試合は1セット21点先取で、7点ごとにコートチェンジします。
一進一退で試合が進む中、愛衣さんは回想します。負けられない理由があったのです。
バレー部員の愛衣さんは、新入生の舞さんを勧誘します。当時から小柄だった舞さん、からかっているのかと憤ります。すると、愛衣さんは言うのでした。
「バレーボールはね、大きい人を倒すスポーツなの!」
リベロの選手が小さくても活躍する姿に、舞さんは瞳を輝かせます。こうして入部を決意します。
その後、大会の二回戦で部は敗退してしまいます。愛衣さんのスパイクは幾度も相手チームに防がれます。相手は背が高い人ばかりだったから仕方ない、と仲間は慰めてくれます。しかし、愛衣さんはそれで納得するわけにはいきません。舞さんが泣いていました。
――バレーボールはね、大きい人を倒すスポーツなの!
かつての言葉が、虚しく響きます。嘘つきだ、と愛衣さんは自分を責めます。
だから、再び勝利に挑むビーチバレーで、愛衣さんは舞さんのために負けるわけにはいかないのです。燃えますね。
後転してからのスパイクがすごい! 舞さん、伊達にリベロで鍛えていません。
「リベロよ、あたしは! そんなフェイント、いくらでも拾ってあげる。アンタの心が折れるまでね!」
舞さんは、そう声高らかに宣言します。きっと、バレー部に入部したときの、小柄でも活躍できるという熱い想いが今も溢れているのではないでしょうか。
Bパート ~
はるかなは手を取り合って、あと1点を目指します。そして笑顔。尊い。
その意気込み合って、遥のスパイクが決まります。1セット目ははるかなペアに軍配が上がりました。
エロい。
それはともかく、休憩タイムでは振り返りや今後の作戦を話し合います。遥は、ブロックが上手くいかないことに落ち込みます。特にクレアさんと比較して自分を卑下します。そんな彼女を、かなたは励まします。
再び手を取り合います。ここ、さっきとは逆で、座り込んでいる遥にかなたから手を差し伸べています。お互いに支え合う良いペアの証拠です。これでこそ、はるかな!
試合は白熱します。舞さんの気迫のレシーブと、愛衣さんのスパイクが印象的です。点数は、11-7であいまいのリードです。しかし、かなたは落ち着いていました。
「大丈夫。よく知ってるの、あの戦いかた」
少し哀しげに見えるのは私だけでしょうか? そして、彼女は言います。
「私を信じて。遥」
「うん。かなたがそう言うなら」
今度は、二人とも自信のある引き締まった表情です。信じて、って言う。信じるよ、って言う。何度も繰り返しますが、はるかな本当尊い。
エミリさんによると、かなたのポーキーは拾いやすいそうです。何故なら、打点が低いためにボールが山なりに飛んでしまい、滞空時間が長いから。
武器になっていない、というクレアさんの指摘に、エミリさんは「そうね。それだけなら……」と意味深な言葉を残します。
どういうわけか、かなたは拾われるにも関わらずポーキーを打ち続けます。
あいまいペアには、かなたの意図が見えません。しかしそれでも、全てのボールを受けて勝とうと意志の炎をたぎらせます。
というめっちゃいいところで、今回はここまで。
まとめ
決して譲らない熱い試合に燃える第5話でした!
前回呼び捨てで呼び合う関係になった遥とかなた、今回はその結ばれた信頼の力を見せつけてくれました。かなたが落ち込んだときには遥が、遥が落ち込んだときにはかなたが手を差し伸べます。
劣勢で不安になる場面でも、大丈夫と言うかなたを遥は信じます。「私を信じて」と能動的な言葉をかなたが口にしたことにも嬉しい限りです。
あいまいペアにも応援したくなる魅力があります。
しっかり者の先輩の愛衣さんですが、その実は後輩の舞さんに対して、語った言葉が嘘になって傷つけてしまったという負い目があります。だからこそ絶対に勝ちたいという強い意志があります。
勝利への意志は舞さんも同様で、Aパート最後のボールに食らいつく二人の姿は本当にかっこよかったです。先輩と後輩の組み合わせは良いものです。
どちらも応援したい試合なのですが、気になる謎が残っています。まずは、かなたがよく知っているという、あいまいペアと同じ戦いかたとは?
私の予想ですが、それは昔のかなたと成美さんのペアのことではないでしょうか。背の高い方をエースとするような戦略が似ています。さらには、成美さんにスパイクをしてもらうために、かなたは成美さんにレシーブを任せきりでした。目的は違えど、あいまいペアも舞さんがレシーブをほとんど担当しています。
これらの類似点から、かなたは昔の自分の戦いかたを思い出した。だからこそ、一瞬哀しそうな表情を浮かべたのかもしれません。
次に気になるのは、かなたがポーキーを使い続ける理由です。考えられるのは、
- 体力説。レシーブ側は、腕や脚、目や首、精神的にも疲労が溜まりそうです。でもリベロの舞さんはレシーブに慣れているはず。なら脚と目か(砂浜と太陽で)。
- 風を読んでいる説。ビーチバレーが風の影響を受けることは今回の冒頭や第1話でも語られています。かなたのポーキーは滞空時間が長い。ならば、風を利用した変幻自在の攻撃を用意しているのではないでしょうか。
- 本命のフェイント説。エクレア戦で見せたように、かなたは普通のスパイクもできます。遥にカットショットを教える力量もあります。つまり、あるタイミングから三種のスパイクを使い分け始めて相手を翻弄するのです。
ビーチバレーは相手の隙を突くことが大事。策士かなたに期待です。
おわりに
以上となります。
いくつか予想を立てて外れたらすごく恥ずかしいのですが、最後まで読んでいただけたなら幸いです。
ありがとうございました。
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